新型ハリアーの注目度は絶大で、非常事態宣言明けてから開始された事前予約も好調で、デビューした2020年6月17日の時点ではグレードによってはかなり長い納車待ちとなっていると言われている。
今後ハリアーの購入を考えているが何を買っていいか迷っている、という人も多いハズ。クルマは高い買い物だけに後悔したくない。
ガソリンとハイブリッドの価格差、FFと4WDの価格差、グレード間の装備差及びそれに伴う価格差などをもとに、渡辺陽一郎氏が新型ハリアーのグレード選びを指南する。
文:渡辺陽一郎/写真:TOYOTA、池之平昌信
【画像ギャラリー】2020年上半期最大の注目車の新型ハリアーはどのボディカラーが似合う?
ガソリン、ハイブリッド合わせて10グレード
最近発売された新型車の中で、特に注目される車種が上級SUVのトヨタハリアーだ。先代型の人気も高く、2020年6月にフルモデルチェンジされる直前まで、1カ月に約2000台を登録していた。新型に対する関心も高い。
新型ハリアーのエンジンとプラットフォームは、基本的に2019年に発売された現行RAV4と共通だ。エンジンは直列4気筒2Lのノーマルタイプと、2.5Lのハイブリッドを用意する。駆動方式は、すべての仕様に前輪駆動の2WDと4WDを設定した。
グレード構成は、ノーマルエンジン、ハイブリッドともに、ベーシックなS、中級のG、上級のZに大別され、GとZにはレザーパッケージも用意する。つまり合計5グレードの構成となった。
新型ハリアーでは価格も注目されるだろう。先代型は最も安い2Lノーマルエンジンの2WDエレガンスが300万円を少し超えたが、新型にノーマルエンジンを搭載した2WD・Sは299万円だ。まずはこのグレードの買い得度を考えたい。
299万円のガソリンSでも実用上の不満は生じない
Sは単に価格の安さだけを訴求する廉価グレードではない。
夜間の歩行者や昼間の自転車を検知できる衝突被害軽減ブレーキ、全車速追従型クルーズコントロール、サイド/カーテン/ニーエアバッグ、3灯式LEDヘッドランプ、8インチディスプレイオーディオ、DCM(専用通信機能)、17インチアルミホイールなどを標準装着する。
さらに後退時の緊急自動ブレーキや後方の並走車両を知らせるリヤクロストラフィックオートブレーキなどもオプションで選べるから、実用的にはSでも不満は生じない。299万円でも選ぶ価値のあるグレードだ。
ただし上級SUVの装備が欲しい場合は、Sでは物足りないこともあるだろう。
アダプティブハイビームシステム(ハイビーム状態を保ちながら対向車や先行車の眩惑を防ぐ機能)、シートの電動調節機能、リアゲートの電動開閉機能などは、Sではオプションでも装着できないからだ。
アダプティブハイビームシステムは、安全性を高めるから、Sにもオプション設定して欲しい。
中間グレードのGはバランスがいい
中級のGを選ぶと、前述の装備が標準装着され、Sでオプション設定になる前後両方向の録画機能を備えたデジタルインナーミラー(Sのオプション価格は8万8000円)も加わる。アルミホイールのサイズは18インチに拡大する。
価格はノーマルエンジンを搭載する2WD・Gが341万円だから、Sに比べて42万円高いが、加わる装備も多いために割高ではない(Sより割安ともいえないが)。妥当な価格差だから、Gに加わる装備の必要性を判断してグレードを選びたい。
販売店に受注状況を尋ねると「GあるいはGレザーパッケージの人気が高い」という。Gレザーパッケージは、文字どおりGに本革シートを装着した仕様だが、パッケージオプションだからほかの装備も加わる。
Gでは助手席の調節機能は手動だが、レザーパッケージは電動に上級化した。このほかシートとステアリングのポジションメモリー機能、運転席と助手席の快適温熱+シートベンチレーション機能も加わる。
Gレザーパッケージの価格は、Gに比べて30万円高いが、この内の12万円はプラスされた装備の価格換算額に相当する。従って本革シート生地の正味価格は18万円だ。このあたりはトヨタらしい巧みな戦略だろう。
本革シートだけでは魅力を感じなくても、助手席の電動機能、シートのベンチレーションなども加わると、ユーザーの購買意欲が強まる。
それにしてもGレザーパッケージの価格は、ノーマルエンジンの2WDでも371万円だから、ベーシックなSの299万円とは印象がかなり違う。
最上級のZは2L搭載の日本車では最も高い部類
上級グレードのZには、Gでは6万8200円でオプション設定されるリヤクロストラフィックオートブレーキ、36万9600円でオプション設定されるTコネクトSDナビゲーションシステム+JBLプレミアムサウンドシステムが標準装着される。
さらにGには装着できないZならではの装備として、カラーヘッドアップディスプレイ、電動リアゲートのハンズフリー機能も加わり、アルミホイールのサイズは19インチに拡大した。
Z専用オプションとして、調光パノラマルーフも19万8000円で用意されている。
Zの価格はノーマルエンジンを搭載した2WDが393万円だから、Gに比べると52万円高い。Zに加わる装備の価格換算額は約54万円だからZは少し割安だ。
選び方として、Gにリヤクロストラフィックオートブレーキと、TコネクトSDナビゲーションシステム+JBLプレミアムサウンドシステムを両方ともオプション装着するなら(オプション価格の合計は43万7800円)、52万円を加えてZにグレードアップするのが得策だ。
なおZでも助手席の電動調節機能、運転席と助手席の快適温熱+シートベンチレーション機能などは装着されず、Zレザーパッケージのセットオプションになる。
Zレザーパッケージの価格も、Gの場合と同様、ベースグレードのZに比べて30万円高い。ノーマルエンジンの2WDが423万円だ。
Zレザーパッケージの価格は、レクサスUX200・2WDバージョンCの421万6666円とほぼ同額で、ノーマルタイプの2Lエンジンを搭載する日本車では、最も高い部類に入る。
以上のようにグレード選びは、実用的にはSでもいいが、ハリアーの性格を考えるとGにリヤクロストラフィックオートブレーキをオプションで加えるのがベストだ。
新型ハリアーは4WDの買い得感が高い
4WDの価格上昇は、ノーマルエンジンが20万円、ハイブリッドは後輪をモーターで駆動するE-Fourになって22万円となる。
この4WDの価格は割安な部類に入るので、用途に応じて積極的に選びたい。
ハリアーの最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)は、ノーマルエンジンが195mm、ハイブリッドも190mmと余裕があるから、悪路のデコボコも乗り越えやすい。
十分な最低地上高も、4WDシステムとの親和性を高めている。
価格差+税金類でパワートレーンを選ぶ
ハイブリッドの価格は、ノーマルエンジンに比べると2WDで59万円、4WDでは61万円の上乗せだ。Zのハイブリッドは、この価格差で、おくだけ充電も加わるから少し割安になる。
ハイブリッドはエンジン排気量も500cc増量されるため、ノーマルエンジンとの価格差が約60万円に拡大した。
ただし税金は異なる。ノーマルエンジンでは購入時に納める環境性能割と自動車重量税の合計額が2WD・Gの場合で10万5000円になるが、ハイブリッドなら非課税だ。
この税額の違いを差し引くと、ノーマルエンジンとハイブリッドの実質差額は2WDが49万円に縮まる。
ハイブリッドは走りの質感が高い
ハリアーの車両重量は、最も軽いノーマルエンジンの2WD・Sでも1530kgだ。ノーマルエンジンは直噴式の採用で実用回転域の駆動力を高め、排気量が2Lでも実用的には十分な性能を発揮するが、上級SUVのハリアーとしては物足りない面もある。
その点でハイブリッドは、推奨グレードとなるGの価格が400万円に達するが、加速感は滑らかでノイズも小さい。ハリアーらしい上質な走りを味わえる。
新型ハリアーの購入時には、走りの質感、動力性能を重視するなら、ノーマルエンジンとハイブリッドで登坂路を含めたルートを走り、どちらを選ぶか判断するといいだろう。
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June 23, 2020 at 09:00AM
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