政権発足から2日後の18日午前、菅義偉首相との面会後、首相官邸で記者団に取り囲まれた武田良太総務相は、少し興奮した様子で強い言葉を重ねた。
「100%やる。できるできないじゃなく、やるかやらないかの話だ」。首相から直前に指示された携帯電話料金の引き下げについて、そう意気込みを語ると、「(値下げ幅が)1割程度だったら改革にならない」と踏み込んだ。
最初から成果を約束するかのような武田氏の言いぶりに、菅氏のこだわりの強さがうかがい知れる。
2015年には当時の安倍晋三首相が携帯値下げの検討を指示。このときも、アベノミクスが消費低迷で失速するなか、家計を圧迫している携帯料金に着目した菅氏の進言があったと言われる。
18年8月には、官房長官だった菅氏自ら札幌市内の講演で「4割値下げする余地がある」とぶち上げた。発言後に立ち上がった総務省の有識者会議はすぐさま「緊急提言」をまとめ、携帯会社の競争を促す19年の法改正につながった。
しかし、いずれの場合も思惑通りの競争は起きず、大幅な料金値下げにはつながっていない。今回は首相の立場で「三度目の正直」をめざすことになる。
なぜ、そこまで菅氏は携帯値下げにこだわるのか。
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