どちらのアウレリアも現存している。2台には初めから決まった仕事が与えられた。ライトブルーの1台は、シャシーナンバーB24-S-1329、ピニン・ファリーナのボディナンバー00330、エンジンナンバーB24-1444で、ラジオ付き。1962年6月5日に、映画制作会社のフェアフィルムS.p.A.が2番目のオーナーとして登録され、「Roma 329446」のナンバープレートを得ると、走行シーンで使われた。
一方、グリーンのアウレリアはスタジオ撮影のためだけに準備され、ソフトトップを取り外してカメラを装着した。ダッシュボードのほかにはほとんど映らなかったからだ。この2番目の車が制作会社の所有として登録されたのかどうかははっきりしない。
ベリベのアウレリアは、シリーズ2の最後から2番目として1956年12月に製造され、翌年2月21日にランチアからウンブリア州に運ばれて、テルニでTR 14422として登録された。撮影の準備期間中にアップデートを受け、新たな法規で必要になったオレンジのインジケーターをテールに付け、ブレーキランプも変更。また、ラジオに加えて、フィリップス製のレコードプレーヤーもダッシュボードにつり下げる形で取り付けられ、映画でBGMを流す役割を果たした。
ベリベはこう話す。「よく注意して一時停止しながら映画を観ると、どちらが使われたか判断できる。私の車はインテリアがベージュで明るい色だ。もう1台はもっと濃いグリーンのインテリアだったので、明るめの毛布で覆う必要があった。私のアウレリアはフロントのナンバーホルダーがないけれど、もう1台にはあるし、テールフィンやテールライトの形状も異なる。ダッシュボードも違う。スタジオ撮影車は、ラジオ用の開口部をランチアのロゴが付いたプレートで覆っている。私は面白いことを発見した。主役2人に追いかけられる若い女性たちが運転する車はMGAに見えるが、ダッシュボードはスタジオ用のアウレリアなんだ」
映画のラストシーンで、アウレリアはトラックとの正面衝突を避けるため道路を外れ、若きロベルトは命を落とす。映画撮影ではよくあるように、幸い、アウレリアに害がおよぶことはなかった。
しかし、ベリベは次のように説明する。「広く知られてはいないが、現実と映画の中の虚構は直接つながっていたんだ。私のアウレリアは、冒頭シーンからボロボロに見える。右のフロントフェンダー全体と右側のフロントエンドはパテで覆われ、右のドアの一部にもパテが見えている。これは、ヴィットリオ・ガスマンがこの車を個人的に使っていて、撮影開始のわずか2日前に縁石にぶつけてしまったからだ。修理を任されたボディショップには替えの在庫がなかったか、スペアを待つ時間がなかったのだろう。そこで取った解決策が、パネルを叩いて元の形に近づけ、パテで覆うことだった。当時のパテは乾くまでに3、4日かかったが、制作会社は時間がないので、そのまま使うことにしたのさ」
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December 08, 2020 at 03:44PM
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