<警察との衝突による混乱で、一般市民がデモ隊に反感を募らせることを香港当局は望んでいる。しかし実際にはその逆のことが起きている>
反政府デモに手を焼く香港警察は11月13日、香港中文大学を包囲。キャンパスになだれ込んで催涙ガスやゴム弾を発射した。だが、起伏に富むキャンパスはむしろ防御に好都合。学生たちは手製の武器やバリケードで応戦、警察の侵入を阻止しようとした。
100人以上の学生が負傷した。2万人が在学する大学への手入れは、きわめて挑発的だ。ある教授によれば、警察が突入したとき、大学では抗議らしい活動は行われていなかったというから尚更だ。
香港のデモは5カ月におよぶが、学生生活の中心である大学のキャンパスは、取り締まりとは無縁の聖域だった。だが、大陸中国からきた学生はほとんどが深セン経由で逃げ、大学も大半が休校かオンラインの講義に切り替えた。
かつては週末に限られていた抗議デモは、今では24時間続いている。警察の実弾発射も増えた。過去10日間で、デモ参加者一人がビルから転落して死亡し、もう一人が警官に撃たれて重体に陥った。
一方、先週北京を訪れ習近平中国国家主席と会談した林鄭月娥行政長官は、デモ隊を「人民の敵」と呼ぶなどますます強硬になっている。平和的なデモは逆に難しくなり、暴力はますますエスカレートするだろう。
香港政府は、この混乱で香港の人々がデモ隊に反感を募らせることに賭けているように見える。だが警察の暴力が子供や高齢者まで巻き込むようになった今、実際には逆のことが起こっているようだ。
香港エリートの一画である金融機関などの専門職さえが、権力を敵視している。米アトランテック誌が指摘する通り、大陸中国の人権抑圧に対する恐怖と反感が、香港市民とデモ隊の結束を固めさせているのだ。
From Foreign Policy Magazine
ジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌シニアエディター)
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2019-11-14 05:58:06Z
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