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すき家の一人勝ち 吉野家と松屋が苦戦続きのワケ(佐藤昌司) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース

すき家の一人勝ち

 牛丼大手3社の牛丼チェーンで明暗が分かれている。7月はゼンショーホールディングス(HD)が展開する「すき家」の一人勝ちで、同チェーンの既存店売上高は前年同月比2.7%増、吉野家HDの「吉野家」が5.7%減、松屋フーズHDの「松屋」が11.6%減だった。新型コロナウイルス下の3~6月は3者とも全ての月がマイナスだったが、7月にすき家だけがマイナスから脱っすることができた。

 新型コロナの影響で7月も多くの外食店が苦戦を強いられたなか、すき家がプラスを確保したというのは大きい。もっとも、吉野家と松屋はマイナスとはいえ、他業態と比べるとだいぶマシだ。特に厳しい傾向にある居酒屋では20%を超える落ち込みを見せたところもある。牛丼店は居酒屋などと比べてテイクアウト・宅配需要に対応しやすいこともあり、マイナス幅が小さく済んでいる。

 すき家が吉野家と松屋よりも悪くないのは、立地の違いが大きい。吉野家と松屋が都心の男性ビジネスパーソンや独身男性をメインターゲットとしているのに対し、すき家は主に郊外の家族連れをターゲットとしている。新型コロナを受けた外出自粛や在宅勤務の広がりで都心は客の戻りが鈍い一方、郊外は回復が早い傾向があり、その影響が出た。

 こうした傾向は当面続くとみられ、その影響は3者の中ではすき家に一番有利に働くとみられる。また、すき家の価格の安さも有利に働くだろう。すき家は吉野家と松屋よりも価格帯が低い。新型コロナによる景気悪化で消費者の節約志向が強まるなか、すき家の安さは魅力的といえる。一方、吉野家と松屋はすき家と比べると高いので不利だろう。

吉野家と松屋はヒット商品が下支え

 新型コロナ前までは価格の高さはそれほど問題にはならなかった。緩やかながらも景気が上向いていたので、多少高くてもおいしければ売れた。

 コロナ前の吉野家では高価格でもヒット商品が続々と誕生していた。昨年3月に看板商品の牛丼で28年ぶりとなる新サイズの「超特盛」と「小盛」を発売し、それぞれ計画を大きく上回る販売を記録しヒット商品となったが、超特盛の売り出した時の価格は税別723円と高額だ。8月に50万食限定で発売した「すきやき重」(税別797円)は高級部位の牛サーロインを使った高額商品ながらも飛ぶように売れ、早々に全てを売り切った。10月には「牛すき鍋膳」(並盛で税別648円)と、中華の有名シェフ陳建一氏とコラボした「麻辣牛鍋膳」(同748円)を投入したが、いずれも高額ながらも好調だったという。

 吉野家はこうした高額のヒット商品に恵まれ、2019年2月期に前期比0.8%増の微増にとどまっていた既存店売上高は20年2月期は6.7%増と大きく伸びている。

 松屋も高額のヒット商品が下支えし、コロナ前の20年3月期の既存店売上高は5.3%増と好調だった。1月に発売したジョージア料理の「シュクメルリ鍋定食」は税込み790円と高額だが、ネット上で大きな反響を呼ぶヒット商品となった。シュクメルリはそれまで日本では馴染みがなかったが、松屋でヒットしたことで多くの人に知れ渡るようになった。シュクメルリは日経MJの「2020年上期ヒット商品番付」(日本経済新聞社)に選ばれてもいる。そして、シュクメルリのヒットは松屋の期間限定商品の評判が高まるきっかけにもなった。

 このような形で吉野家と松屋は高価格の商品でヒット商品を生み出して収益を高める戦略を推し進めている。対してすき家はあくまでも低価格商品が主体だ。定番商品はもちろん、期間限定商品も安い。例えば、期間限定商品で一番人気と言われる「ニンニクの芽牛丼」が7月に発売されたが、価格は並盛で税込み500円と安い。すき家の期間限定商品は牛丼にトッピングを加えるだけのものが多いので大半が低価格だ。消費者の節約志向が強まるなか、低価格のすき家は受け入れられやすいといえるだろう。

 一方、高額商品をヒットさせて収益を高める戦略が主体の吉野家と松屋は不利といえる。ヒットが続けば問題ないが、長きに渡ってヒット商品を生み出すのは容易なことではない。もっとも吉野家は今期(21年2月期)に入ってからもヒット商品が誕生している。4月に販売を開始した「スタミナ超特盛丼」がそうで、同商品は税別798円と高額ながらも発売から40日間で100万食を販売するヒット商品となった。

 吉野家と松屋ではこうしたヒット商品が収益を大きく下支えしている。とはいえ、ヒットが続く保証はどこにもない。

3社の業績は厳しい状況に

 吉野家はヒット商品が下支えしているものの、新型コロナの影響を全てカバーするには至っていない。こうしたことから吉野家HDは吉野家などの大量閉店を決断した。今年度中にグループで最大150店舗を閉店する方針で、そのうちの40店舗程度が国内の吉野家になるとみられる。同社の業績は厳しい状況で、20年3~5月期の連結最終損益は40億円の赤字(前年同期は10億円の黒字)だった。21年2月期通期は90億円の赤字(前期は7億円の黒字)を見込んでいる。

 厳しいのは松屋フーズHDとゼンショーHDも同じだ。松屋フーズHDの20年4~6月期は連結最終損益が18億円の赤字(前年同期は6億円の黒字)だった。ゼンショーHDも厳しい状況で、20年4~6月期の連結最終損益は63億円の赤字(同19億円の黒字)となっている。

 この7月は3者で明暗が分かれ、すき家の一人勝ちとなった。だが、3者とも状況が厳しいことに変わりはない。こうした状況にどのような対策を講じてくるのか。今後の動向に注目が集まる。

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August 20, 2020 at 09:00AM
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