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詩人と妻、美しい青年―― 済州島で流れ出す愛の物語『詩人の恋』。 - Pen-Online

今年の時計界で話題をさらったのが、オーデマ ピゲ自ら創業の地に設立したミュージアム、「ミュゼ アトリエ オーデマ ピゲ」のグランドオープンだ。

現代的なミュージアムが、伝統と革新を体現する。

上空から見たミュージアムの威容。スパイラル状の全体構造をもつガラス製パビリオンはBIG(ビャルケ・インゲルスグループ)の設計によるもの。

オーデマ ピゲの本社はスイスのジュウ渓谷、ル・ブラッシュの地にある。世界的な名声をもつブランドは、スイスの中でもひと際自然に恵まれたジュラ山脈の桃源郷で育まれた。高級時計の揺りかごと呼ばれる奇跡の渓谷は、なによりも複雑な腕時計をつくるにふさわしい静寂さに満ちている。世界が注目するミュージアム「ミュゼ アトリエ オーデマ ピゲ」は、オーデマ ピゲが1875年に工房を開いたまさにその地に今年、開館した。

現代的なミュージアムが、伝統と革新を体現する。

隣接する歴史ある建物との対比は、新旧が交錯するオーデマ ピゲの魅力とも重なる景観だ。

建物は斬新を極めた、総ガラス張りのスパイラル状構造をもつ。一方その現代性は、ル・ブラッシュの環境と内部を有機的に結合させる大仕掛けでもある。内部からは雄大な景観を眺め、外部からは孤立することなく視線を透過させる。環境の中に融合したミュージアムは、現代建築に先駆的なセノグラフィー(舞台美術)の要素を乗算したものでもある。

現代的なミュージアムが、伝統と革新を体現する。

内部のシーンと外景をシームレスに接続するスパイラルの壁面はすべて曲面ガラスに支えられ、メッシュ状の真鍮が光と温度を調節する役割を果たす。

優れているのは建物だけではない。この場は自社ミュージアムであることを超えた、より高く深いアートの磁場でもある。展示空間にはオーデマ ピゲによる傑作の数々はもちろん、さまざまなインスタレーションや彫刻、オートマタや複雑な機械式ムーブメントの実物大模型、解説図が現れる。静的に名品を眺める視覚の楽しみ以上に、心躍る時間を演出する。訪問者はまた、オーデマ ピゲの仕上げ職人たちが継承してきた「サテン仕上げ」や「サーキュラーグレイン仕上げ」に挑戦する、貴重な体験もできる。

斬新で意欲的なミュージアムは、見せる場所であると同時に、ものづくりの空間でもある。オーデマ ピゲの時計づくりの中でも最も複雑を極めるグランドコンプリケーション工房と、芸術的な伝統工芸(メティエ・ダール)のアトリエが、スパイラルの中心を囲むように設置されている。目の前の職人たちが振るう超絶的な技巧の目撃者になる機会が提供されるのだ。

現代的なミュージアムが、伝統と革新を体現する。

螺旋状の建物中央部、グランドコンプリケーション工房前の展示空間。オーデマ ピゲが製作したさまざまな複雑時計を一堂に集めた夢のような場だ。

そして目前にあるのが、オーデマ ピゲ最高の銘品たちの展示である。創業以来の歴史に残る天文時計、音響系の複雑時計や希少なクロノグラフが、1899年製作の超複雑懐中時計「ユニヴェルセル」を取り囲む太陽系のように配置されている。さらに「ロイヤル オーク」や「ロイヤル オーク オフショア」「ロイヤル オーク コンセプト」コレクションが約300点の時計の展示のフィナーレを告げる。

ミュージアムはオーデマ ピゲの軌跡をたどり、伝説と奇跡の理由を解き明かしていく。そこで見出されるのは、世界を魅了するブランドの決して揺るがない姿である、伝統と革新の連続そのものなのだ。

※Pen 2020年12月1日号 No.508(11月16日発売)より転載

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November 23, 2020 at 10:00AM
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