機能美という言葉があるが、ことクルマ、それも1960年代までのレーシングカーでは、機能プラス美、と言い換えたほうがいいように思える。速い、同時に美しい。代表格が「ジャガーDタイプ」である。
(TOP写真:リベット留めのアルミニウムボディーなど、まるで航空機のようだ)
英国のジャガーカーズは、1948年の「XK120」にはじまり、51年の「Cタイプ」、そして54年の「Dタイプ」と、数々の“名”レーシングカーを送り出してきた。

1956年にレースに出たショートノーズと呼ばれる仕様
CタイプからDタイプへと“進化”するなかで、数々の画期的な技術が採用された。一つは航空機由来の流体力学の採用、もう一つはモノコックボディー。さらにエンジンやブレーキなども、高性能化していった。当時の英国の自動車界は、世界最高峰の技術力を誇っていたのである。
54年にル・マン24時間レースでデビューした際は、(優勝は逃したものの)時速275キロ超を記録したのだから、当時としてはスーパーレーシングと呼びたくなる高性能ぶりだった。

もっとも美しいロングノーズのボディー
ル・マン24時間レースでは、Cタイプで51年と53年に優勝。続くDタイプはル・マンでの優勝の目標に開発されただけあって、55年、56年、57年と3年連続でチャンピオンシップを獲得しているのだ。
なかでも57年は、アイバー・ビューブとロン・フロックハートのドライブしたエキュリー・エコッスのDタイプが優勝。上位6位のうち5台がDタイプだった(5位にフェラーリ315スポルトが食い込んだのみ)。

レースカーなので回転計のみで速度計はない
ジャガーは正式には56年にレースから撤退(そのあとは83年のXJRまでツーリングカーレースをのぞいて本格的なレースカーはほぼ空白)。でも上記のように、エディンバラに本拠地を置くエキュリー・エコッスなどの強力なプライベートチームが頑張って、レース史に残る57年の記録を打ち立てたのである。

3連のツインチョーク式ウェバー・カーブレターが並ぶ直列6気筒は当初3.4リッターでのちに3.8リッターになった
そのあたりは、フォードGTを思い起こさせる。フォードがレースから撤退した後も、英国のチーム、JWオートモーティブエンジニアリングが、GT40で68年と69年のル・マン24時間レースで優勝を勝ち取ったのだ。
ジャガーDタイプは、流れるようなスタイルのボディーに、大きなヘッドランプと楕円(だえん)形の空気取り入れ口、生物を思わせる力強い造形が特徴的だ。加えて、ドライバー背後にそそり立つスタイビライザーが航空機のようなスピード感を表現していた。

ドアにセントアンドリュークロスをモチーフにした「エキュリー・エコッス」のエンブレム
今のように、デザイナーが、量産車とイメージがつながるように車体をデザインして……なんてことはなかったはずだ。航空産業で流体力学を研究していたエンジニアも参加しつつ、レースで勝つかたちを追求して、その結果である。必然的にできたともいえるかたち。それゆえに力強いのだろう。
(写真=Jaguar Land Rover 提供)
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