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儚く美しい「軍艦島」ジオラマ「朽ちていくものの切なさ、懐かしさ、空気感を形にしたい」:紀伊民報AGARA - 紀伊民報

まるでドラマや映画のセットのようなジオラマ作品「光さす庭(軍艦島日給社宅)」。作者のひなた(@honononnohohon)さんは“朽ちていくもの”に魅力を感じ、廃墟や古びた古書店など荒廃し朽ちていく建物などの姿をジオラマとして表現ししているモデラー。なぜ、こういった作品を作り続け、作品を通じてどんなメッセージを伝えたいと思っているのか。話を聞いた。

■好きな風景を作るため、キットを使わずにジオラマ制作

――ジオラマの魅力に目覚めた原体験を教えてください。

【ひなた】子どもの頃、兄が作っていた鉄道模型のレイアウトに使われていた建物(ストラクチャー)を見た時に、とてもワクワクしたことを覚えています。ストラクチャーの載っているカタログを兄から借りて、飽きもせず眺めていました。その時にはジオラマを作ることはありませんでしたが、きっかけになったのは、確かにあの時だと記憶しています。

――ジオラマの魅力にとりつかれた、運命的なキットがあれば教えてください。

【ひなた】もともと、好きな風景を作ることに魅力を感じてジオラマにはまったので、キットを使うことはありませんでした。「軍艦島」を発表した後、多くのモデラーさんと知り合ったこともあり、キットを使ったジオラマに興味が出て作るようになりました。一番多くジオラマに登場するキットはハセガワの「メカトロウィーゴ」。シンプルでかわいらしいのにとても表情豊かなところが好きです。

――今までに作った「ジオラマ」はいくつくらいですか?

【ひなた】大小合わせて40個ほどです。

――作品を拝見すると、荒廃し朽ちていく建物などの姿をジオラマとして表現されたものが多いかと思います。こうしたものを題材にし始めた、きっかけや理由をお教えください。

【ひなた】写真集などで、古びた建物や置き去られた廃電車、壊れゆく廃墟を見た時に、とても惹かれるものがありました。その時感じた切なさや悲しさ、奇妙な懐かしさなどの、形にできない空気や気配のようなものを形にしたいと思い作るようになりましたね。

■ネットで偶然見かけた写真がきっかけ

――代表作「光さす庭(軍艦島日給社宅)」は、リアリティーのある作りで、ただただその迫力に圧倒されました。本作を作ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

【ひなた】ネットで偶然見かけた日給社宅の写真を見たことがきっかけでした。廃墟の光庭(中庭)に生い茂る木々にさしている光がとても美しく、どうしてもこの光景を作りたいと強く思いました。

――写真でみた「軍艦島」がモデルになっているんですね。どのようなストーリーをイメージして、制作されましたか?

【ひなた】朽ちていく建物と、光を浴びて伸びていくかつてはなかった緑の木々。今は誰も居ないのに、そこかしこに残っている以前暮らしていた人々の気配…。うまく言葉にできませんが、寂しいのだけれど寂しさだけではない、懐かしいような感じ。その儚さのようなものを上手く形にできたらいいなと思いながら制作しました。

――「軍艦島」を作る際に一番苦労したのはどの部分ですか?

【ひなた】日給社宅の建物を二棟作りましたが、そのための作業が同じことの繰り返しでかつ膨大な作業量だったので、本当につらくて苦しみました。やらなくてはいけない作業だったのですが、作業机の前に座るのさえ嫌になるほどでした。

――「趣味」は楽しんで行うものだと思っていましたが、時には、苦痛の時間はあるわけですね。

【ひなた】そうですね。一方でこだわった部分は、光が差し込んできらきらと落ちていく光庭の表現です。小さなラメの粒を光に見立てて建物や木々のところどころにつけているので、よく見ると光が見えます。かなりわかりにくいですが…。

――そんな苦労の時間を経て、完成まで至ったわけですが、制作後の反響はいかがでしたか?

【ひなた】この作品は、「第三回浜松ジオラマグランプリ」に参加するために制作したものでしたが、「自由創作部門賞」などをいただきました。これをきっかけに、たくさんのモデラーさんと知り合うことができましたし、作品そのものもとても多くの方に見ていただくことができてうれしかったです。
 ただ、それまでは家族やSNSを通じて知り合った少数の方々に見てもらいながらひっそりと作っていただけだったので、突然注目されたことに驚きと戸惑いを覚えましたね(笑)。

【写真】かつての賑わいはどこへ…儚く朽ちる「軍艦島日給住宅」ほか、ひなたジオラマコレクション

■私にとってジオラマとは「もうひとつの言葉」

――田舎にある古びた古書店を想起させる「その向こうに」も独特の空気感があり趣深い作品です。これはどのようなストーリーをイメージして作られたのでしょうか?

【ひなた】まず最初に、「店の中の鏡を覗き込む猫」が思い浮かびました。そこから、イメージを膨らませ、本がたくさん並んだ昔どこかにあったような、ひなびた懐かしい雰囲気の古書店にしようと思いました。猫の映る鏡以外にも鏡を仕込んであるので、もし実物を見る機会があれば探してみてほしいです。

――「光さす庭(軍艦島日給社宅)」「その向こうに」をはじめ数々の作品を制作されているわけですが、ご自身がジオラマを制作するうえで一番気を付けていることはなんでしょうか。また、ジオラマを作る際に信念にしていることは?

【ひなた】「何か違う」と心の声がしたときは、手を止めてみて何が違うのかを見つけ、その都度対処するようにしています。面倒くさくてもその時に対処しておかないと、後からやり直したいと思っても出来ない場合もあるので。後悔しないように、やれることはやっておきます。
 信念は特にありませんが、好きなものを好きという気持ちで作れたらいいなぁ、といつも思っています。もちろん作業が大変で前述の通り、作業机の前に座るのさえ嫌になる時もあるのですが(笑)。

――これだけ細かい作業を行うとなると、大変な時もありますよね(笑)。ひなたさんの考える、朽ちていくもの、荒廃したものの魅力とは?

【ひなた】朽ちていくものの向こうに、それまでの時間の流れだったり、かつてそれが使われていた時の姿だったりが見えるところでしょうか。変わってしまった事って、寂しかったり悲しかったりするのだけれど、なぜだかそこに懐かしさだったり美しさも感じることができて、とても心惹かれます。

――最後にひなたさんにとって「ジオラマ」とは?

【ひなた】私にとってジオラマとは「もうひとつの言葉」でしょうか。口下手で自分の気持ちを人に伝えるのが下手なので、せめて作品からだけでも何かが伝わるといいなぁと思い、制作に臨んでいます。

文/中山洋平

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September 18, 2020 at 05:00AM
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